矯正治療をお考えの方はたくさんいらっしゃると思います。 しかし、矯正歯科治療には高額な費用がかかるのではないかと踏みとどまっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
そんな皆様の疑問に矯正歯科医の立場からお答えしたいと思います。
目次
矯正歯科料金はなぜ高額なのか
第一の理由として、矯正歯科治療は健康保険が適応されず、全額患者さん負担である点が挙げられます。 (適応される場合もあります)
次に考えられるのは矯正装置や矯正歯科材料、歯科医療機器などのコストの点です。
矯正歯科器具や矯正歯科材料はひとつひとつが非常に高額で、なおかつたくさんの種類が必要である。
矯正歯科材料のばら売りが非常に少なく、そのうえたくさんの種類が必要なため、多くの在庫を抱える必要がある。
オーダーメイドが必要な矯正歯科装置が多く、製作のコストが割高である。歯科医療機器は高額で、かつメンテナンスにも費用がかかる。
これに加え、下記の歯科医院運営に関わる費用も発生します。
歯科医院運営に関わる費用
実際医院を運営していくためにはどのような費用がかかるのでしょうか。 分かりやすいところでは
家賃
駐車場代金
水道光熱費
人件費 (歯科衛生士 受付 医院によっては勤務歯科医師)
雑費 (事務用品費 通信費 新聞図書費など)
広告費 (駅の看板など)
さらに以下のような費用があります。
歯科治療台
レントゲンなどの医療機器の費用
医療機器のメンテナンス費用 (これらが予想以上に高額です)
歯科医院ならではの内装費用 (特殊な内装で割高です)
医療機器は5年〜7年前後、内装費は7〜15年前後で返済していきます。
そして日進月歩の医療のなかで医療機器も交換が必要ですし、内装も使用の状態によりますが、長くても20年くらいで再度やり直すため再投資が必要です。
多くの医院で設備投資費用が矯正の装置代金、材料費などより大きな負担になっていると思われます。これらの歯科医院運営費用も矯正料金に大きく影響していると思います。
なぜ歯科医院で矯正歯科料金に
差があるのか
矯正歯科治療は自費診療(保険外診療)のため各医院が自由に矯正歯科料金を設定できます。あくまでも想像ですが、下記に歯科医院で矯正歯科料金に差がでる要因として考えられる事を挙げました。
設備投資(内装費用 歯科医療機器)
家賃 人件費
市場経済の影響 各歯科医院独自のサービス
お口の中の状態や年齢、矯正装置の種類や矯正歯科治療方法で同じ医院でも矯正歯科料金が変わる場合がほとんどです。
極端な例をあげてみますね。
銀座のパーラーでコーラを飲むといくらでしょうか?駅のコーヒーショップでコーラを飲むといくらでしょうか?
お店の雰囲気やサービスは異なりますね。どちらでコーラを飲むかはお客様の好みによると思います。味の感じ方は違うかもしれませんがコーラは本来同じものですよね。
矯正歯科料金
3つの支払いシステム
次に実際の矯正治療にかかる料金の支払いのシステムについて考えました。
大きく3通りあります。
矯正歯科器具や矯正歯科材料はひとつひとつが非常に高額で、なおかつたくさんの種類が必要である。
矯正装置料(新しい装置を装着するごとに請求)と来院時の処置料(調整料)
総額制 すべての矯正治療料金が含まれているシステム
どのシステムが良いかは矯正歯科治療を受ける方の好みにもよると思います。現在日本では1番目のシステムが多いと思います。残念ながらひとつのクリニックですべての料金システムに対応していることが少ないのが実情です。
矯正歯科(歯列矯正)の
治療費の目安
内容 | 説明 | 治療費(目安) |
---|---|---|
矯正歯科 相談料 |
初診の矯正治療相談費用 | 0円〜 10,000円 (税込) |
矯正の検査・診断料 | 矯正治療のための検査と診断費用 | 30,000円〜 100,000円 (税込) |
矯正歯科 基本料金 |
詳細は下記の別表参照 | 250,000円〜 1,500,000円 (税込) |
処置料 (調整料) |
ワイヤーの調整 (定期検診など) |
3,000円〜 10,000円 (税込)/1回 |
TOTAL | 約300,000円〜 2,000,000円 (税込) |
矯正歯科基本料金の違い
方法 | 説明 | 治療費(目安) |
---|---|---|
ワイヤー矯正 (もっとも一般的な矯正) |
上下とも矯正を行った 場合 |
550,000円〜 1,200,000円 (税込) |
舌側矯正 (裏側の矯正) |
通常の表面の矯正を行う場合よりも、 1.5倍ほど治療費が高くなります。 |
1,000,000円〜 1,500,000円 (税込) |
小児矯正 (子供の矯正) 3~12歳 |
上下とも矯正を行った場合 | 250,000円〜 600,000円 (税込) |
矯正歯科基本料金って何??
「矯正歯科基本料金」というと、矯正装置の料金と思われる方もいらっしゃると思います。
矯正歯科基本料金の内訳はどのようになっているのか考えましたが、矯正装置の料金以外に下記の料金も含まれていると思います。
矯正装置料金
矯正歯科材料費
矯正装置技工料金(歯科技工士さんが装置を作る費用)
矯正治療技術料金
口腔衛生管理費
矯正装置装着、撤去料金
保定管理費
滅菌費
衛生費
これに加え実際には前記に挙げた歯科医院運営費用も含まれます(家賃、人件費、水道光熱費、雑費、設備投資費用など)。
※上の矯正歯科の治療費の目安も参照してください。
なぜ矯正歯科治療は
健康保険がきかないのか
厚生労働省の定めた病名については矯正歯科治療でも健康保険が適応さ れます。(病名:唇顎口蓋裂 鎖骨・頭蓋骨異型成骨症 尖頭合指症顎変形症 etc.)
現在、日本の健康保険制度は 医科・歯科を問わず予防的な治療に関しては健康保険が適応されない事がほとんどです。
また医療費が増加しており、新しく矯正歯科治療を保険適応に認めてもらえるためには世論の大きな支持がないと困難だと思います。
矯正歯科料金よくある質問
動的治療の進行状況で返金がある場合(清算あり)と一度お支払いした料金について返金がない場合があります。(医療機関で異なります)
もし転勤などで引越しの可能性がある場合、治療開始前によく確認し相談することをお勧めします。
少なくてすむのか?
早期治療をした方が費用の負担が少なくすむことがあります。
歯の大きさが標準で、顔の骨格に大きな問題が無い場合は早期治療(主に小学生の頃の矯正)のみで矯正治療が終わることがあります。
一般的に小学生の頃の矯正歯科費用は中学生以降の矯正歯科費用の半分くらいです。
記事監修者:
長津田矯正歯科クリニック 山本 知寿
平成6年東京歯科大学卒業
矯正専門歯科医院、大学病院矯正科を経て平成17年長津田矯正歯科クリニック開院。平成28年日本矯正歯科学会認定医取得。