歯科矯正用
アンカースクリューとは?
歯科矯正用アンカースクリューとは、チタンの小さなネジ(直径約2mm)のことです。
この小さなネジをあごの骨に埋め込んで固定源にすることで、歯を効率的に動かしていきます。
使用しない場合との比較
たとえば、出っ歯(口ゴボ)を改善するために抜歯を行った場合、抜歯後のスペースを閉じつつ、前歯を引っこめていきます。
歯科矯正用アンカースクリューを
使用しない場合
抜歯後には、ゴムやワイヤーなどを用いて、前歯を引っこめていきます。
その場合、前歯と奥歯で引っ張り合いをするため、動いてほしくない奥歯が前方に移動してしまいます。
歯科矯正用アンカースクリューを
使用した場合
固定源が骨になるため、奥歯を動かすことなく、前歯を効率的に引っこめることができます。奥歯が移動しないので、無駄なく出っ歯を改善することができるのです。
歯科矯正用アンカースクリューを
使用するメリット
より効率的で美しい仕上がりに
歯科矯正用アンカースクリューを固定源にすると、動かしたい歯だけを無駄なく動かせるだけでなく、より美しい仕上がりに導くことができます。
患者さまの負担を軽減
歯科矯正用アンカースクリューを併用すると、ワイヤーによる歯のコントロールを補助でき、歯の動きを促進できます。その結果、治療期間の短縮が期待でき、患者さまの協力や負担を軽減することができます。
施術の流れ
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レントゲン撮影・確認
レントゲン撮影後、歯や根の位置を把握。歯科矯正用アンカースクリューを埋め込む位置を確認します。
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麻酔
埋め込む位置の歯茎に局所麻酔をおこないます。
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歯科矯正用アンカースクリューを埋め込む
細心の注意を払い、位置や痛みなどを確認しながら歯科矯正用アンカースクリューを埋め込みます。
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使用開始
骨に定着するのを待ち、揺れない事などを確認した上で使用を開始します。
こんな歯並びの方にご提案
ガミースマイル・噛み合わせが深い
笑うと歯茎が目立つガミースマイルや深い噛み合わせは、前歯を歯茎の方向へ沈めて、噛み合わせを改善します。
出っ歯・口ゴボ(上顎前突)
抜歯をすると引っこみすぎるケースでは、奥歯を後方に移動させることで出っ歯や口ゴボを美しい口元に改善します。
受け口(下顎前突)
奥歯の位置や噛み合わせを改善するため、受け口の場合に使用します。(骨格が原因などの場合は外科矯正の対象となります)
前歯で噛めない(開咬)
前歯を噛み合わせるために、歯科矯正用アンカースクリューを用いて奥歯を歯茎方向へ沈めます。
よくあるご質問
歯科矯正用アンカースクリューを埋め込む際には麻酔を施しますので、基本的には痛みを感じることはありません。
埋め込んだ後の清掃(歯磨き)が不足していると、歯茎に炎症が起きて痛みを感じる場合がありますので注意してください。
歯科矯正用アンカースクリューを外した後の穴は自然に閉じていきます。閉じた後は、跡が残ることもありません。
基本的には、麻酔をする必要がない程、痛みなく外せます。万が一、痛みがある場合には、微量の麻酔をしてから外します。
デメリット・注意事項
■ 衛生管理
歯科矯正用アンカースクリュー周辺の清掃不良が続くと、歯茎が腫れたり炎症が起こったりする場合があります。
■ 脱落・破折
骨の状態によっては定着しにくく、頻繁に手で触ったり、歯茎に炎症が起こったりことでも脱落しやすくなります。
また、ごく稀に歯科矯正用アンカースクリューが破折してしまう場合があります。
記事監修者:
長津田矯正歯科クリニック 山本 知寿
平成6年東京歯科大学卒業
矯正専門歯科医院、大学病院矯正科を経て平成17年長津田矯正歯科クリニック開院。平成28年日本矯正歯科学会認定医取得。