どのような装置でも小学4年生くらいまではあまり痛みを生じないようです。その後、年齢が高くなるのにしたがい、痛みの度合いが強くなっているように感じます。
*痛みには個人差があります。
「痛くない」とはいえません
矯正治療を行う上で、痛くないとはいえません。
痛みは目に見えないため、不安に思う患者さまの気持ちはとてもよくわかります。不安な気持ちの解決の参考に少しでもなればと思っております。 院長 山本
痛みが出る原因
矯正治療にて痛みが出る原因について、簡単にご説明します。下記のイラストをご覧ください。
歯は顎の骨の中に植わっています。
歯に力をかけると一方では歯根膜が伸び、反対側では骨が圧迫され少し溶けます。
骨の移動が起こることによって生まれたスペースは、新たな骨によって修復されます。
吸収と再生を繰り返す
歯が移動後、伸びた歯根膜は元に戻り、そこに新しい骨ができます。この吸収と再生を繰り返して歯は動いていきます。
結果的に痛みが出る
このように、歯の周りの骨が刺激をうけることによって、生理的に痛みが出るのです。
痛みの種類
痛みには歯が動くことによるものと、装置が頬や唇にあたるものの2種類があります。
歯が動くことによる痛み
- 噛むと痛く硬いものが噛みきれない
- 歯が締め付けられる痛み
- 歯がしみる痛み(成人に多い)
- 歯が浮いた感じがする
痛みが強い時の症状
- 何もしなくても歯やその周りが痛い
- 歯が何かに触れると痛い
※間接的に頭痛が生じることもあります
装置があたるなどの痛み
- 頬や唇が痛い(口内炎ができます)
- 歯肉が痛い 歯肉に傷ができたり、赤くなったりします
- 舌が痛い
※上記は一般的に口内炎と同様の症状になります
装置の種類による痛み
矯正装置の種類によっても痛みは変わります。
マルチブラケット装置
歯に白や銀のブロックを付けてワイヤーが通っている装置で、昔からあるスタンダードな装置です。一般的にこちらの装置が一番痛みを感じます。装置をつけている歯全体が痛いです。
顎外固定装置
ヘッドギア・チンキャップ
朝起きた時や朝ごはんを食べる時、奥歯や前歯が痛くなります。通常は数日でなくなるので、気にせず装置をしっかり使用しましょう。
床矯正装置
一般的に痛みは少なく、装置をつける違和感や話にくいことが気になります。
機能的矯正装置
一般的に痛みは少なく、装置をつける違和感や話にくいことが気になります。
顎間ゴム
しっかり使用していると使い始めてから数日間、ゴムをかけている歯に痛みが生じます。そこでやめてしまうと、再度使用する時、痛みが生じます。我慢して使用していると、自然に痛みがなくなります。顎が痛くなった場合は主治医に相談してください。
固定式拡大装置
装着後3日ほど主に奥歯に痛みが生じます。長いと一週間くらい痛みます。ピークは2〜3日後で、徐々に痛みが和らぎます。 舌の痛みや歯肉の痛みを生じることもあります。
床型拡大装置
上顎の痛みは少ないです。下顎は舌側の歯肉、特に奥歯の内側歯肉に傷ができ、痛みを生じます。1年に2回〜4回くらいです。
マウスピース型矯正歯科装置
一般的に装着後1日〜2日痛みやきつさを感じます。マウスピース型矯正歯科装置の種類により変化します。
*マウスピース型矯正歯科装置(インビザライン)は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
痛みの対応方法
歯が動くことによる痛み
食べ物の工夫をしてください。りんごやおせんべいなどの硬い食べ物はあまり良くありません。
やわらかい食べ物
・ヨーグルト
・豆腐
・うどん
・スープ
を食べることをおすすめしております。 鎮痛剤の服用も効果的です。(ですが、実際に服用されている方はまれです)
装置に当たって痛い場合
口腔内にあたっている装置部分に、ワックスをかぶせることで対処できます。(ご自分でできます)または、あたっている場所の装置を削ることも場合によっては可能です。
記事監修者:
長津田矯正歯科クリニック 山本 知寿
平成6年東京歯科大学卒業
矯正専門歯科医院、大学病院矯正科を経て平成17年長津田矯正歯科クリニック開院。平成28年日本矯正歯科学会認定医取得。