矯正治療は日本だけでなく、もちろん海外でも行われています。今回はその中でも、ヨーロッパの矯正治療についてのお話をしていこうと思います。

ヨーロッパの矯正治療

ヨーロッパの矯正治療の特徴は、機能的矯正装置が良く使われるという点があります。

機能的矯正装置とは、子供の矯正治療に主に用いられる装置で、マルチブラケット装置(ワイヤー)のような固定式の装置ではなく、取り外しのできる装置です。

また、歯に力をかけて動かす装置ではなく、患者さんの口の中の機能的な環境や、口の周りの筋肉の機能力を矯正力として利用する装置です。

機能的矯正装置を用いて治療を行うことは、1936年にノルウェーのオスロー高等歯科医学校のAndresenにより発表され、主に欧州諸国や日本でも多く使用されています。

機能的矯正装置には、アクチバトール、ビムラー、バイオネーター、フレンケルなど様々な種類があります。
当院では、フレンケルやプレオルソなどの機能的矯正装置を使用しています。

ヨーロッパの矯正治療は、装置の取り外しができ、患者さんにとって精神的・身体的・経済的に優しい矯正治療というイメージだと思います。

ヨーロッパの矯正治療の歴史

歯科矯正学の父といわれるNorman.W.Kingsley(1829~1913)や近代歯科矯正学の創設者のE.H.Angle(1855~1930)など多くの有名な矯正歯科医はアメリカ人のことが多いのですが、20世紀以前の歯科医学はむしろヨーロッパで盛んだったそうです。

歯並びを治そうという試みは、紀元前からあったといわれ、紀元前30~40年にローマ人のCelsusは指頭を用いて歯を移動することを記載しているそうです。

あまりに、古いことは置いておいて、近代矯正学の黎明は17世紀以降フランスを中心とした宮廷文化に支えられていたと考えられています。もともと、矯正歯科医学はもっぱら貴族のための医療として発達したそうです。

ルイ王朝の宮廷歯科医師Bourdetはすでに歯列弓拡大装置のような装置を考えていたそうです。
フランスのDuval(1788~1854)は「overbite」「underbite」「edge-to-edge bite」「cross bite」などの現代の矯正歯科医がみんな当たり前に知っている用語を作っています。

1728年から1888年の間、フランスでは少なくとも、66冊の歯学書が発刊され、歯列や歯の異常について記載されているそうです。

一方、イギリスではHunter(1728~1793)が下顎前突の治療をプレートを用いて行っています。

その後の1900年ごろ、イギリス、フランスで盛んであった歯科矯正学は、しだいにアメリカにその舞台を移し始めていくことになります。

アメリカでの歯科矯正学の発展により、固定式のワイヤーによる矯正治療が主流になるのですが、近年、機能的矯正装置の価値が再評価されてきています。

 

参考文献:歯科矯正学入門 医歯薬出版株式会社